メタケイ酸マグネシウムの結晶形間の変換については、広範な研究が行われてきた。しかし、現在のところ、この問題について完全に統一された明確な理解があるとは考えられない。しかし、1962年にJ.F.Sarverらによって得られた結果は、MgSiO3 結晶変態の法則に関する基本的な情報を1400 ℃以下の温度で提供した。SavilleらはMgSiO3 T-P相図から、タルクセラミックスの焼成中に生成する主な結晶相は、元のエンスタタイトであり、1042 ℃まで冷却される(急冷法で測定)。高温X線回折法で測定した結果は1035℃であり、865℃の間でエンスタタイトに転移する傾向があり、865℃以下では準安定結晶のクリノピロキセンに転移する傾向がある。865 ℃以下では準安定結晶性輝緑岩が長時間存在し、熱力学的に安定な輝緑岩に変化することはない。タルクセラミックスの経年変化や粉砕は、冷却、配置、使用中に高温結晶相である初生エンスタタイトがエンスタタイトやクリノピロキセンに変化することによって起こる。
格子定数から計算した理論密度によると、室温での初生エンスタタイトからクリノピロキセンへの転化は約2.8%の体積変化を伴い、初生エンスタタイトからエンスタタイトへの転化時の体積変化はさらに大きいことがわかる。格子定数から解析すると、体積変化は結晶のc軸方向の短縮とb軸方向の伸長の総和であるため、体積変化の値に反映されるよりも、転化過程における粒長変化の影響の方が必然的に大きくなる。変態過程に伴う大きなひずみは必然的に大きな応力を発生させ、この相変化応力の影響がタルカムチャイナの老化や粉砕のより直接的な原因となっている。元のエンスタタイトはタルカムチャイナの主な結晶相であり、タルクセラミックスの優れた性能は元のエンスタタイトに直接関係している。このように、タルカムチャイナの老化や粉砕の問題を解決することは、冷却、配置、使用中に元のエンスタタイトがエンスタタイトやクリノピロキセンに変質しないように、いかに安定化させるかという問題になる。